最高裁判所第三小法廷 昭和29年(オ)955号 判決 1955年4月05日
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人佐々野虎一の上告理由は添付の別紙記載のとおりである。
上告理由第一点。法律は一旦適法に制定された以上その後の法律により改廃せられない限り効力を失うものではない。日本国憲法は民法、不動産登記法を廃止する旨を規定しない。それ故論旨は理由がない。
同第二点。原審は本件土地が被上告人の所有に属することを認定しただけで脱税を保護したものではない。所論違憲論は前提を欠くものである。
同第三点。控訴審において陳述するには必ずしも新に準備書面を提出しなければならないことはない。刑事訴訟法に関する所論判例が本件に適切でないこという迄もない。論旨は理由がない。
よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)